ごあいさつ


 CASTEL/J(日本語教育支援システム研究会)は日本語教育を支援するシステムを開発、配布することを目的として、1991年4月に発足しました。以来、日本語教育に利用できる著作権フリーの辞書、画像、映像、日本語テキスト、データを集め、CD、DVDの形で配布したり、オンラインで提供したりしてきました。また、1995年以来、数年おきに「日本語教育とコンピュータ」国際会議を開催し、日本語教育におけるコンピュータ、テクノロジーを利用した日本語教育の実践発表の場を作ってきました。会員制の学会ではなく、テクノロジーを使用した日本語教育に興味のある教師、研究者が国際会議の際に世界から集まる組織として存続しています。

 この会が発足したのは、日本語学習者数の増加に伴う、日本語教師の不足と日本語教育教材の不足に対し、コンピュータ、ディジタルメディアの利用を考えたことに始まりますが、この当初の目的は達成したと見なし、現在はオンラインの辞書、テキスト、データなどの収集、配布は中止し、国際会議の開催に専念し、研究発表、意見交換の場を提供しています。21世紀に入り、テクノロジー、インターネット技術が急速に発展し、教育におけるテクノロジーの使用が一般化し、特に最近のパンデミックにより、オンライン授業やハイブリッド授業が広く広がり、教育の中でテクノロジーが果たす役割が大きくなり、教育工学(Educational Technology)についての議論をする意義がますます強くなってきました。 2021年にベトナムのホーチミンシティーで国際会議を開く予定でおりましたが、パンデミックのため、早稲田大学をハブとしてオンラインで実施しました。2022年もパンデミックのため開催を延期しましたが、パンデミックの先行きがある程度はっきりしてきたと判断し、2023年8月にホーチミンシティーのホーチミン市国立師範大学を会場に国際会議を開催することになりました。日本語教育が発展を続けるベトナムで開催できることは非常に意義深いと思います。パンデミックはまだまだ続いていますが、感染の広がりも止まり、2023年8月に皆さんとホーチミンシティーでお目にかかれるのを楽しみにしております。

CASTEL/J 会長 當作靖彦